患者さんの心理に配慮した婦人科用検診台「DG-360」

タカラベルモントは、創業以来様々な製品を開発し、様々な出来事を体験して成長してきました。このコーナーでは、その中の一つの出来事を取り上げて紹介いたします。

今回紹介するのは産婦人科検診台「DG—300」と「DG—360」。タカラベルモント初の産婦人科検診台となったのが「DG—300」。そして1987年発売の「DG—360」は椅子が回転・上昇する中で、椅子がゆっくり後ろに倒れ、診察姿勢になる。患者さんの心理的負担が軽減され、産婦人科診療の流れを変える提案として、新聞などマスコミに何度も取り上げられ、1988年にはグッドデザイン賞を受賞した製品です。

1978年に発売されたDG-300

昇降機構の進化によりメディカル製品が拡大

タカラベルモントが医療機器の開発に取り組むようになったのは1960年代後半。初期の製品には検眼椅子や光学台がありました。その後、タカラベルモントの電動昇降装置の改良が進み、平行クランク機構や交差クランク機構が1970年代後半に開発されたことにあわせ、メディカル分野の製品開発が拡大していきます。その中には産婦人科検診台「DG—300」も含まれています。開発に携わったOBの西山昭雄氏(故人)の話では、その当時はとにかく手探り状態で、産婦人科のある病院や医院を回り、市場のニーズをリサーチしたといいます。

ドクターの一言が開発のヒントに

市場のニーズも踏まえて誕生した「DG—300」。そして「DG—360」にも市場のニーズが取り入れられています。

グッドデザイン賞を受賞した1987年発売のDG-360

開発に携わったメディカル事業部の吉川正治社員によると、営業活動訪問した産婦人科医院で、次のようなことを言われたそうです。「患者さんが座ったらタカラさんの理容椅子のように椅子が回って診療ポジションをとれるような検診台があったら」と。当時の検診台は座面の高さ(初高)が高く踏み台を使って座らなければならないものも多く、機能的には昇降と寝起こしのみで、回転する検診台となると、理容椅子用のベースを組み合わせて手動で回転するものを特注で作っていた程度でした。

その後、開発本部に異動になった吉川社員は新しい検診台の開発担当になります。回転機構、昇降機構そしてチルト機構などを備えた製品の開発に取り組んでいきますが、実はこの製品の開発で苦労したのは、座面の取り扱いだったと言います。

「診療時に座面が邪魔になる」ということで、座面下部をなくす案も出たそうですが、「座る時の座り心地を考えると座面をなくすわけにはいかない」ということで「診療ポジションになると座面の下部が邪魔にならない場所にスライドする」という機能をつけることにしました。スライドする時に患者さんに触らないように何種類も座面を作り直したといいます。

こうして誕生した「DG—360」は、ドクターとはカーテンで仕切られた上で患者さんがイス形状のものに座り、椅子が回って診察姿勢になるため、患者さんの心理的負担が軽減された製品ということで注目を集めます。また従来の検診台に比べ、患者さんが診療ポジションにつくまでのトータルの時間が短くなったということで、ドクターからも評価され、年間200台以上を販売するヒット商品になりました。