ビジネスを越えた心が通う特別な存在
「良い製品をタカラさんに売らせてもらって、今日の繋がりがあるんだと感謝しています」そう語るのは、金沢で半世紀以上続く老舗の美容ディーラー、彦田の彦田恵子会長だ。彦田のルーツは、理容師だった彦田会長の父と美容師をしていた母に遡る。「昭和17年頃、父の営んでいた小さな店が金沢市の郊外にありました。戦争で父が留守の間、母は床屋と美容院をひとりで掛け持ちしていました。私が2歳の頃、戦争の最中にお正月で家に戻った父が軍服を着てタカラさんの理容椅子に座りながら私を抱いている写真が残っています」80年前の写真にうつるどっしりとした立派な椅子とともに彦田会長は当時を懐古する。「100周年を迎えた今もなお先々代様の遺志を受け継ぐ、良い品をお客様にというタカラさんの変わらぬ想いに感銘を受け、改めてその偉大さを感じます」
昭和21年に創業した彦田とタカラベルモントとの長きに亘る付き合いのなかでは、彦田会長の父である彦田彦勇氏が、タカラベルモントの創業者である初代吉川秀信社長の叙勲(勲三等旭日中綬章)受章と喜寿を祝う祝賀会の発起人代表として祝辞を述べたこともあった。昭和51年当時、北陸タカラベルモントでの出来事だ。
彦田会長にとって、タカラベルモントとの関係はただの会社対会社ではなく特別なものとなっている。自分の息子みたいだというタカラの北陸営業部部長、石田氏との絆も深く、同氏のお嬢さんが幼い頃にくれた手紙は今でもパウチに入れて大事に保管している。それ以外にも、彦田会長にはタカラ社長との想い出がたくさん詰まった宝箱がある。
「社長のファンで、全ての写真を取ってあるんです。記事の切り抜きなども集めているんですよ」タカラベルモントも毎年、社長自ら、彦田会長に向けて良い写真を贈っていて、彦田会長はその写真を大事に全て保管する関係が続いている。「亡くなった主人もタカラさんには大事にしてもらいました。そんなメーカーさんは他にはないと思います。主人にとってもタカラさんは特別な存在でした」
今の時代に求める営業としての姿勢
「創業当時から一番商品を買ってくださっているカミオグループ様とは、今も良好な関係が続いていて、一番のお客様です。」今の美容ディラーはもっと営業の姿勢に情熱が必要だと彦田会長は考えている。タカラベルモントの器具などのチラシを自ら作って配ることもしていた。「注文を待っているだけでは商売はできません。私の時代には、とにかく訪問してお客様の顔を見に行くことを心がけていました売るためだけではなく、顔を出して機会を伺うことを心がけていましたね。営業マンは、靴がきれいなうちはダメです。靴を見たら足を使っているかどうかがわかります」実は、先日も石田さんと一緒に得意先を十数件訪問して来たんですよ」と話す。
良いものを広く認知してもらう努力を
心が通うタカラベルモントだからこそ、寄せる期待は大きい。「タカラさんにはスピード感を求めています。代理店会議で新しい商品の紹介があると、私はそれをコピーしていち早くお客様に情報として届けるようにしています。彦田は情報が早いとアピールするためです。しかし、お客様に興味を持ってもらっても、タカラさんでまだ値段が決まっていないこともありました。そこはぜひ改善していただきたいところですね」商品の売り方も、もっとアピールしやすい体制を求めている。「他のメーカーと比べると、いろいろとまとめて売る手法を推している印象でしたが、それでは一つひとつの商品の専門性が薄れて、アピールが難しい。タカラさんにはせっかく良い商品がたくさんあるのだから、グループ力で営業の方々との連携を強化して、各商品の専門性を高めて細かくアプローチする手段をとったほうが良いと思っています。昔、日航ホテルで商品を実際に体験してもらえる機会を設けたように、お客様に直に製品の良さを感じてもらえる機会を増やすことも重要です」
彦田でも、社員一人ひとりが積極的に知識を深めて、新しい情報や提案を発信していきたい。「幸いにも金沢の会社の近くにはタカラさんの素晴らしいショールームがあり、北陸三県からのお客様をご案内できる環境にあります。弊社もさらに営業力を発揮していかなければならない。私自身、美容という仕事に60年間携わってこられたことについて、タカラさんにも感謝したいと思います。お互いに信用と信頼でお客様と結ばれている。こんな素晴らしい関係で商売ができるなんて幸せです。これからも、ともに知恵を出し合いながら、事業を継続していけるように、時代に即応した働き方を考えて行かなければならないのではないでしょうか。」
取材日:2017年8月23日