100th ANNIVERSARY タカラベルモント株式会社

株式会社女性モード社 寺口昇孝会長 編集力が光る情報発信で美容業界を牽引

美容業界の発展を考えるメディアづくり

「メインターゲットは20代、スタイリストになった25から29歳くらいの美容師さんですね。ずっと美容業界に向けて、プロ用ということで作ってきたのが『ヘアモード』です」そう語るのは、『ヘアモード』をはじめとする美容業界専門誌や多くの関連書籍を出版する女性モード社の寺口社長である。創業者の意向で世襲制をとっていないため、寺口社長で6代目となる。「うちは創業以来、ずっと美容業界を軸に歩んできました。例えば、ヘアカタログでもお客様向けの通常のものとは異なり、業界に関心を持ってもらえるように、また美容室に足を運んでもらえるようにということを目的とした誘導型の内容で作っています」

女性モード社の創業は、昭和35年2月、美容専門出版社の新美容出版創業者の姪にあたる今成道代氏と、その夫の今成弘氏が独立して起業したのが始まりだ。「当時は、6人から7人くらいの規模で元新美容の方も多くいたと聞いています。独立したのは30代前半で、創業者は新美容にいた頃から、いろいろと取り組んでいたそうです。そうした想いを盛り込んだのが女性モード社です。その頃は『ヘアモード』のようなA4雑誌は珍しく、表紙を飾るモデルの中には、のちに芸能界で活躍するような方も多くいらっしゃいました。この目白を綺麗な女性が闊歩するので、すごく目に付いたそうです」

業界の潮流を見据えた取り組み

近年、業界に大変革が起こる前夜のような雰囲気を感じるという寺口社長。「美容室も、面貸しや事業委託、外部経営者の参入、ITを強みとする美容室の出現など、様々な形態が生まれてきています。アナログからデジタル思考になって、多様なものがミックスされている印象ですね」女性モード社も、紙媒体には変わらずしっかりと向き合いつつ、Webへの展開も進めている。「出版社なので、まず編集力を大切にしています。SNSなどの台頭もありますが、それらの媒体の多くは情報が垂れ流されていて、見に行くだけの行為になりがちです。私たちはそういったものを有益な情報に編集してパッケージ化することで、学びを付加する。それが私たちの存在意義だと思っています。なかなか気づかないところにまで目を向けて、美容師の皆さんに新たな気づきを与えられる情報発信を心がけています」

また、高齢化が進む現状についても、ファッションやITなど最先端の美容とは棲み分けて、異なるアプローチで対応している。「紙媒体は特に、高齢の方に支えられています。これからますます高齢化が進むなかで、美容では外見の美だけではなく、歳を重ねることで深みを増すインナービューティーや、生き方などが注目されています」例えば、女性モード社から出版された書籍の著者であるHEAVENSの小松敦さんは、もう少しで60代になる現役美容師だ。「過去は男性美容師というと40から50歳くらいでハサミを置く人が多かったのですが、現在は小松さんのように長く美容人生を歩んで、今なお若い人を引っ張っていける力を持った方もいらっしゃいます。お客様もいつまでもきれいで、美容師とともに歳を重ねて行く。これからは、そういった生涯顧客を持って寄り添って生きていけるかという、美容師の底力のようなものも大切なポイントになってくるのだと思います」さらに、寺口社長は訪問理美容の分野も注目すべきテーマだと語る。「美容室に来られなくなったときにどうアプローチできるか。法的な問題などもあるので簡単ではありませんが、そうしたところにも目を向けています」

変わらずに大きく真ん中にいてほしい

美容業界とともに長く歩んできた女性モード社が、タカラベルモントに寄せる信頼は厚い。「タカラさんは、空間、化粧品や器具、さらには教育など、美容室で成立しないといけないものを全て持っている印象ですね。タカラさんが著者の本があるのですが、メーカーが著者である書籍としては重刷される異例の売れ行きで、改めてタカラさんの業界での信用度の高さを感じました」タカラベルモントの存在によって、美容業界全体の秩序が守られているように感じるという寺口社長はさらに続ける。「美容業界で、大きくど真ん中にいて存在感があるのがタカラさんです。若いメーカーや美容師、ジャーナル、ディーラーなどが自由に動けるように、どんと構えて真ん中にいる、これからもそういうメーカーであってほしいと願っています」

※文中の肩書は取材当時のものです

取材日:2016年12月8日

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