100th ANNIVERSARY タカラベルモント株式会社

ヘアサロン大野グループ 代表 大野悦司先生 情緒産業としての理容の発展を願う

タカラ歴代社長との交流

「これは記念になるでしょう。なかなかないでしょうね。株式会社宝鋳工所って書いてある」大野悦司代表は、そう言いながら誇らしげに、先代から保管していた理容椅子808号の保証書を見せた。1934年に、東京日本橋生まれの大野孝次郎氏が創業したヘアサロン大野グループ。息子で2代目の悦司代表は、若かりし頃、父に連れられてタカラの初代吉川秀信社長に何度か会っていた。「新しく支店を出すとなると親父が受付も通らず秀信社長の中庭の見える部屋にどんどん入っていくんですよ。そうすると私も親父に連れられて行ってね」

1960年に日本橋の本店には当時最新のタカラの椅子が10台入った。その頃ちょうど全国の理容組合の理事長が集まる理事会が開催され、終了後理事長たちはタカラが用意した貸切バスでこの店へ。ずらっと新製品が並んだ様子はショールームで見せるよりインパクトがあり好評だった様子で、その後も「何度かタカラの営業マンがお客さんを連れてきた」と悦司代表は語る。

2代目、秀一社長の頃にはタカラ主催のクリエイティブクラブというものがあった。高度成長期で、サッスーンカットが注目され、理容師のあり方にも多くの変化が起こっていた時代。アメリカからロバート・クレッグという講師を招いて、ミロードカットを導入した最先端の技術を学んだという。また当時、大阪には秀一社長や悦司代表も所属していた、同世代の仲間が集まるタカラヤング会という集まりがあった。あるとき、悦司代表らヤング会の数人が秀一社長に呼ばれて、タカラとしてこれから大学を作るべきかどうか意見を求められた。「『教育の頂が高いほど裾野が広がるから、僕は大賛成です』と言ってね。大学設立の話はその後どうなったのかわからないけれど、今でも秀一社長の描いた夢、そういった想いは大切にしたいと思っています」

そして、三代目、秀隆社長との交流は、タカラヤング会を参考に、東京で近しい世代で集まり、新たに立ち上げたメディアボックスという会に端を発する。「マーケティングの勉強や、理美容業におけるネットワークの扱い方とか、個人情報の活用の仕方とか、すごく勉強になった。そのなかには、今のPOSレジに影響を与えているものもあるんですよ」。秀隆社長とは、組合講師仲間と国内外の旅行、ゴルフなど、さまざまなかたちでの親交もあるという。

日本橋を拠点に創業100年を目指す

ヘアサロン大野グループのルーツは、日本における近代西洋理髪の第一人者のひとり、篠原定吉氏にある。篠原氏の経営する平床で、先代の孝次郎氏が修行をした後、独立開業した。のちに中央校(現在の中央理美容専門学校)校長となる米倉近氏や海津正氏は孝次郎氏の兄弟子にあたる。ちなみに悦司代表いわく、中央校が今も存続しているのはタカラのおかげと言える部分も大きいという。「一時期、中央校の生徒が減って学校運営がうまくいかなくなった。その時に、生田にあった中央校の寮をタカラが買ってくれて、資金調達ができたそうです。窮地を救ったポイントですね」

悦司代表は先代のもとで理容の多くを学び、一人前になった。まだ高校生だった16歳の時に、大阪に新店を出す父に連れて行かれて、跡を継ぐか否かの決断を迫られる。決心した当時の悦司代表は、営業回りやお店の手伝いを精力的にこなしたという。厳しくも温かい大阪のお客様にたくさん鍛えられた。「大阪のお客さんは、こいつを育ててやろうっていう気持ちがある。だから僕は大阪が好きでね。大阪に育てられたという感じで」

本店のある日本橋には老舗が多く、100年を超えないと商いとして認められない側面がある。「今うちは創業85年。私は100年を目指しますよ。100年ってすごいですよ、やっぱり」悦司代表は、理容師になると決めた日と変わらぬであろう、熱い眼差しで先を見据えている。

理容の明るい未来を考えた人材育成

かつてタカラの主催する勉強会の講師として、日本の宇宙開発の父として著名な糸川英夫博士の講演を受講した。「理容業は情緒産業である限り、永劫発展する」悦司代表は、博士からいただいたその言葉が今でも自身のテーゼになっているという。ヘアサロン大野グループは、ベトナムのハノイに支店を出すなどグローバルな展開も積極的に行なっている。「理容業の発展には、人材の育成が欠かせません。私はベトナムでもただ出店するのではなく、現地で教育して、ゆくゆくは指導ができる優秀な人材を育成したいと考えています。それは、今の日本でも同じで、情緒産業としての理容の発展のために、それぞれが努力して未来につながる人材を育成しなければならない。タカラさんには、教育のようなソフト面でも尽力いただくことを期待しています」

取材日:2017年3月8日

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